先日このようなニュースを見かけました。

純利益1兆円のソフトバンク「法人税ゼロ」を許していいのか?

 

今日はこれについて考えてみます。

今回の論点は下記の5点です。

・なぜ決算上儲かっているのに税金を払わなくていいのか
・なぜソフトバンクGは所得が発生しないのか
・ソフトバンクグループ全体で税金はしっかり払ってます
・2018年3月期はなぜ還付なのか
・孫さんは銭ゲバなのか

・なぜ決算上儲かっているのに税金を払わなくていいのか

結論

「利益はあるけど所得はないから」ということです。

利益と所得って何が違うんでしょうか?

利益は「財務会計(決算書上)の儲け」であり、
所得は「税務会計(確定申告書上)の儲け」を意味しています。

財務会計は会計基準に基づいて作成するものです。

目的は上場会社なら投資家に開示、非上場でも社内管理や経営目的、
その他金融機関に提出するためなどが挙げられます。

税務会計は税法に基づいて、確定申告書を作成して、
納税するために作成されます。

財務会計と税務会計は同じところも多々ありますが、
少し違うところもあります。

作成する目的は異なりますが、同じところが多々あるんなら、
それぞれをイチから作るのってめんどくさいですよね!?

ですので、財務会計をベースに決算書を作成し、
それをベースに財務会計と税務会計のズレを
確定申告書上で調整し、税金をどれだけ支払うか
の元となる所得を算定することになります。

財務会計では経費にしていいけど、
税務会計では経費にしちゃダメ、などがあり、
「利益」と「所得」は一致するわけではありません。

・なぜソフトバンクGはなぜ所得が発生しないのか

2019年3月期について、有価証券報告書によると単体の税引前利益が約2兆円ですが、
法人税等は500万円しか計上されていません。

その要因は上述の通り、利益は出ていますが、所得がないからです。

なぜなのでしょうか。

それにはソフトバンクグループが持株会社であることが大きく関係します。

・持株会社とは

グループ内のほかの会社の株式を持って、他の会社を支配することが主な業務となります。
つまり、自らが製造や販売と言った事業は行ないません。
この会社は持っている会社の配当が収入となります。

なぜこういった形態がとられるのかは長くなるので省略しますが、
現代の大規模な組織運営をする上で、比較的メジャーになっています。

〇〇ホールディングって一度は耳にしたことがありますよね?

あれは大体がこの持株会社の形態になります。

話を戻してソフトバンクグループは、グループの株を持っているだけの会社です。

あれ、 「携帯売ってるやん、通信サービスやってるやん」て思われる方がほとんどではないでしょうか。

あれはソフトバンク株式会社というソフトバンクグループという会社のグループ会社です。

ソフトバンクグループは単体で約2兆円の利益を計上していますが、税金はたったの500万円しか払っていません。

メディアやネットでは孫正義さんに悪意があるような報道がされていますが、 実際はどういうことなのでしょうか。

はっきり言って全く問題なしです。

なぜなら 売上のほとんどすべてが配当だからです。

ひとつ、あなたに質問です。

あなたは株の配当を受け取ったことがありますか。

受け取ったことがある方なら分かると思いますが、
株の配当は源泉所得税(+住民税)がかかり、約20%控除されて入金されます。

例えば、 あなたの法人が100万円の配当を受け取りました。
20%20万円の税金が控除され、80万円入金がありました。

それに対して80万円入金があるから 税金を払えと言われたらどう思いますか。

もうすでに税金を引かれているのにまた「税金払え」と言われるのは意味が分からないですよね。

当然に税制もそれを分かっているので、
「受取配当等の益金不算入」制度というものがあり、
持株割合や保有期間にもよりますが、
グループの配当は、会社の益金、
すなわち儲けにはカウントしないというルールになっています。

ソフトバンクグループには海外の子会社も多くありますが、
「外国子会社配当益金不算入」という趣旨は同様の制度があります。

ですので、ソフトバンクグループの収益構造において、
単体で法人税等を払っていないのは全く問題なし!ということになります。

ソフトバンクGのグループは税金払ってます

じゃあ、ソフトバンクGのグループ全体ではどうでしょうか。

19年3月期は2,366億円の法人所得税を計上しています。

グループの柱であるあなたもご存じ携帯会社のソフトバンク株式会社の決算書はこのようになっています。

しっかり2,059億円の法人所得税が計上されています。

その他国内のメジャーなグループ会社であるヤフーやアスクルもしっかり納税しています。

ですので、

「ソフトバンクが税金を払っていない」

というのは誤りであると言えます。

18年3月期はなぜ還付なのか

僕が毎回楽しみに見ている有名Youtuberのもふもふ不動産のもふ社長が
この動画でなぜ18年3月期は8,531億円の還付なのかわからない、という旨を仰っています。

これについて解説します。

結論としては、決算書上、還付に見えるだけで実際は税金を払っています。

18年3月期の有価証券報告書にしっかりと記載されています♪

当期税金費用△267,034億円というのが、実際の税額です。
繰延税金費用1,120,216億円というのは、日本の基準では法人税等調整額とも言いますが、
会計と税務の利益(所得)のズレを調整する役割があり、帳簿上の調整額になります

それがアメリカの税制が変わったことで、そのズレを修正する必要があり。
決算書上、多額の還付を受けているように見えるというだけなのです。

・孫さんは税金を払いたくないのか

報道の影響もあり、SNSでは、

「孫さんは税金を払いたくない銭ゲバ」

というような投稿が見受けられます。

しかし本当にそうなんでしょうか。

東日本大震災時には個人で100億円の寄付をしたり、
将来の経営者を育てるための財団を設立したり、
日本に多大な貢献をしています。

今回は取り上げていませんが、アーム社の節税対策であったり、
税金をできるだけ少なるようにしていることは間違いありません。

しかし、それはあくまで税法のルールに沿ったものであり、
脱税をしているわけではありません。

誰だって無駄な税金を払いたくないって思いますよね?

それを実践しているにすぎません。

法の抜け道をついているのですが、
抜け道を作った法の設計者を叩くべきであり、
孫さんを叩くのはお門違いだと思います。

結論

当初のニュースを見ていると、
ソフトバンクが税金を全く払っていない、
というようなイメージが独り歩きして非難の対象になります。

しかし、今回説明した通り、ソフトバンクグループが、
法人税を払っていないのは、会社の構造上、当たり前であり、
携帯会社などのその他の事業会社では、
ルールに沿って、適切に納税をしています。

ニュースを見て、パッと叩くのではなく、
それが何でなんやろう?自分もなんか節税できることないかな?
と考える癖をつけることが重要ではないでしょうか(^^)/

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